今後、薬剤師が生き残るためにどのようなことが重要になってくるのか、薬剤師の「将来性」について調べてみたよ。薬剤師として長く働いていきたいのであれば、少しでも将来性のある就職先を選ぶようにしよう。
薬剤師資格の保有者は飽和状態なのを知っているかな。2017年に薬剤師国家試験に合格した人数は9,479人(※1)。
それでも薬剤師は人手不足と言われていて、地域によっては薬剤師の需要と供給のバランスがとれていないんだ。育児休暇など、特別休暇中で実際には働いていない薬剤師も沢山いるみたい。数字の上では飽和状態の薬剤師も、実際には人手不足が深刻な問題になっているんだね。
※1参照元:厚生労働省/第106回薬剤師国家試験について[PDF](https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000772132.pdf)
薬剤師は調剤薬局や病院、ドラッグストアや企業などさまざまな場所で活躍できるよね。就職先には多くの選択肢があるし高収入も実現しやすいから、長い間注目を集めている職業なんだ。しかも、薬剤師の資格は基本的に失効することがなく、今後もどんどん増えると考えられているよ。
実際に、日本では毎年8,000人以上の薬剤師が誕生しているため、長い目で見ると薬剤師は飽和状態になる可能性があるね。とはいえ、県別に薬剤師の数を確認すると、状況は少し変わってくるんだ。
2015年に厚生労働省が実施した調査によると、人口10万人あたりの薬剤師数は徳島県が210.9人と1番高く、その後は都市部が上位のほとんどを占めているよ。一方で、福井県は140.5人、青森県は133.8人という結果になり、地方ではいまだに薬剤師不足が続いていることが分かったんだ。
実際に、地方では薬剤師の需要がかなり高い傾向にあるから、20年後や30年後でもまだまだ活躍の場は豊富にありそうだよ。都市部よりも給与が高いケースもあるから、地域密着型の薬剤師として活躍したい人に向いているね。
しかも、今後は高齢化の進行によって、病歴管理や悩み相談の必要がある患者さんが増えていくと考えられているよ。特に高齢化の進む地方では、より多くの薬剤師が必要となるだろうね。
近年では各業界でAIが活躍していて、業務の一部デジタル化も進んでいるよね。具体的に、ショッピングモールや飲食店では受付を担当していたり、農業では畑の除草作業を行っていたりと、どんどんAIが身近な存在になっているんだ。
そんなAI技術は、薬剤師などの専門的な業務でも活用できると考えられているよ。ただし、トラブル対応や患者さんとのコミュニケーションは難しいから、全ての業務をAIに任せるのはまだまだ先になりそうだね。
AIの得意分野は正確な情報処理だから、薬剤師業務では医薬品の在庫管理や薬歴管理・分析、調剤業務・処方解析といった膨大なデータの管理や薬剤師のサポートを任せられそうだね。
実際に、クラフト株式会社と日本IBMが開発を進めている「薬剤師支援AIソリューション」も、受付や服薬指導の記録管理など、薬剤師の業務支援を目的としているんだ。多くの経験が必要となる業務は今後も薬剤師が担当することになるから、AIとは共生関係になっていくだろうね。
AIは単純作業やデータの抽出などは得意だけれど、人の感情をくみ取る業務は一切できないんだ。例えば、患者さんごとに対応方法が異なる服薬指導やトラブル対応は、AIに任せるのが難しいと言えるだろうね。
そのため、今後の薬剤師には、AIにはできないコミュニケーションや臨機応変な対応などの能力が求められそうだよ。特にかかりつけ薬剤師は「患者さんの頼れるパートナー」としての役割を担っているから、これからもAIより薬剤師の需要が高まりそうなんだ。
厚生労働省は2019年4月に、「一定の要件を満たせば非薬剤師でもピッキング業務を行っても良い」という通知を出しているよ。これによって、調剤補助員などの非薬剤師でも、ピッキングや薬剤の一包化などの業務ができるようになったんだ。
薬剤師を目指す人の中には、「非薬剤師も業務を担当できるようになると、薬剤師の需要が減るのでは…?」と不安を抱く人もいるかもしれないね。ただし、調剤補助員はあくまでも薬剤師のサポート役だから、薬剤師の需要が減る可能性は極めて低いよ。
薬剤師から見た登録販売者は、業務を支援してくれるパートナー的存在だよね。OTC販売では第1類医薬品を除いた一般医薬品を扱えるから、薬剤師の業務負担が減って専門業務に専念できるんだ。
また、登録販売者は薬剤師よりも安く雇えるから、ドラッグストアなどでは需要が増加している職種でもあるよ。しかも、登録販売者の資格試験は薬剤師試験よりも難易度が低く、比較的なりやすい職業なんだ。今後も更なる増加が予想されるから、そのぶん薬剤師の活躍できる場が減るかもしれないね。
これから薬剤師として活躍していくためには、薬の専門家としてのスキルアップも必要だけど、コミュニケーション能力が重要になるよ。
「医療チームとの連携能力」や「患者さんの目線に立つ姿勢」が問われることになるから、就職先を選ぶ際にはなるべくコミュニケーションをとる機会が多い環境が自分のためになるはず。
最近、セルフメディケーションという言葉をよく耳にしないかな?自分自身で健康を管理していく、患者さんのセルフメディケーションをサポートするために、今後重要視されるのが「かかりつけ薬剤師」だよ。
かかりつけ薬剤師を目指すなら、日常生活をサポートする健康食品やOTC医薬品に関する知識は外せないね。今までは健康食品に関する知識について二の次だった薬剤師さんも多いと思うけど、これからはきちんと勉強したほうが良いみたい。
医療機関と連携を取りつつ行われる在宅医療の現場では、医療機器など環境が整っていない状況で対応する必要があるよ。そのために経験を通じて、コミュニケーション能力や判断力もスキルとして求められているんだ。
生き残るための「かかりつけ薬剤師」になるなら、どうして調剤薬局で働くのがいいのかな?
調剤薬局であれば、「かかりつけ薬剤師」に一番必要とされるコミュニケーション能力と、在宅医療で必要なスキルを自然と身に着けることができるんだ。
薬剤師として経験を積んでいくなら、将来性のある調剤薬局を選んだ方が、薬剤師としての付加価値がついてどんな就職先でも活躍することができるよ。
薬剤師の就職先として最も選ばれている「調剤薬局」と「ドラッグストア」(※2)を比較したから、福利厚生やお給料など違いを詳しく見ていこう。
※2参照元:厚生労働省/一般職業紹介状況(令和2年9月分)について 職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))[PDF]
調剤薬局とドラッグストア